【書評】倉田百三「出家とその弟子」(新潮文庫)

f:id:radiomikan:20130227020034j:plain

浄土真宗の祖とされる親鸞と弟子の唯円を中心とした戯曲。

 

著者の倉田百三(1891~1943)は大正・戦前期に活躍したベストセラー作家だったが、今日の評価はどうだろうか。

 

内容としては親鸞の子・善鸞や唯円を巡る恋愛・性などが描かれる。

一応、親鸞が出てくるのだが、彼が「罪のゆるし」とか「隣人を愛せ」というのは、なんか違和感。こう思ったのは私だけではないようで、仏教学者の末木文美士氏は「仏教として見るにはおかしく、いかにもキリスト教的」としているし、出版当時から内容について批判は多かったらしい。

 

また、舞台は鎌倉時代になるのだが、なんとも現代的な印象は読んでいて感じた。

 

でも、愛とか恋とかに悩む登場人物を描いた本作、私は結構好きです。